黒色中国BLOG

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【上海の街角で】(1)なぜか郵便受けが多すぎる件

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昔、上海に住み始めた頃、この街を知りたくて、やたらと歩いた。一日中歩き続けることも少なくなかった。

メディアを通じて知るのではなく、クルマや地下鉄の車窓から見るのでもなく、自分の足で歩き、自分の皮膚感覚で理解しなければなければ納得できない。

私にとって「知る」とはそういうことだ

https://www.instagram.com/p/BFcv-WbkEgy/

…と書き始めると、大層な話のようだが、そうやって私が街ついて「知る」ことと言えば、「なぜ1つの玄関に、こんなにたくさん不揃いの郵便受けがあるんだろうか」という疑問だったり。

他人にとってはどうでもいい、他愛もないことばかり。でも、こういう発見は、私だけの大切な「宝石」の一粒なのである。

https://www.instagram.com/p/BEdTcoMkEuc/

上海を散歩していると、いつも玄関扉が気になる。郵便受けは不揃いで、位置も無秩序、名前は大きく太字で書いてある。

「新民晩報」とは新聞の名前だから、この人はそれを定期購読しているのだろう。裁縫屋の呼び鈴のボタンも見える。 

極めて実用的で不格好だけど、面白い、独特の美を感じるようになった

一つの玄関扉にたくさんの郵便受けがある理由

https://www.instagram.com/p/BFcwJZDkEhP/

1つの扉に、不揃いの郵便受けが無秩序に取り付けられている背景には、様々な理由があるのだろうが、私が知っている理由の1つは、中国共産党と関係ある。

昔、それなりに1つの家だったのを、金持ちなどから接収して、複数の家族が住めるようにしたケースがあるそうだ。中華人民共和国成立後、住宅不足を解決するための施策の1つだったらしい。こういう事例は、上海以外でも、中国のあちこちで見られる。

大連でも、昔の満鉄の社宅だった大きな家を、幾つかの家族で分けて使っているのを見たことがある。

こうした場合、玄関口は1つしかないけど、入居者は複数になるので、郵便受けも複数取り付けられる。それぞれの入居者がバラバラに購入するので、色や形は不揃いになる。間違って投函されないように、名前を大きく書いて、新聞の名前も書いていたり…という事情らしい。 

【上海の街角で】(全5回)

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