「公園内で蝉の幼虫を捕まえて食うな。川口市 公園課」
— 台湾史.jp (@TaiwanHistoryJP) September 5, 2019
川口とくればあの団地のあるところだが、セミの幼虫も食ってるのかと。
しかし、川口市公園課よ、これで言うこと聞くと思ってるなら、中国人のこと何もわかってない、全くわかってない。
この看板、何かが抜けているのです。 pic.twitter.com/NZMnCFosSf
台湾史.jpさんがこんなツイートをしていましたので色々気になったのですが、セミの幼虫をどうやって食べているのでしょうか…ちょっと調べてみました。
【目次】
カラッと揚げてお酒のつまみ
ググってみたらこんな記事がありました。
▲この中に、
中国食材店の女性店員は「中国では、セミの幼虫をカラッと揚げてお酒のつまみとして食べるんです」と明かした。中国の屋台ではセミの幼虫だけではなく、ヒトデ、サソリ、タツノオトシゴなどの串揚げが平然と売られている。昆虫食が栄養満点と話題になったこともあるが、グロテスクなセミの幼虫は、食習慣のない日本人にとっては、なかなか手が出ないところだ。
…とありました。
まぁ、中国人は油で揚げたら何でも食べられると思っているところがありますからねぇ…。
私はこの話を聞いた時に、福建料理じゃないのかな?と思いました。福建以外でもセミは食べるかも知れませんが、以前北京に留学していた時に、福建料理屋でセミを出す店があったのです。何回か足を運んだものの、毎回閉まっていて、結局は食べられなかったのですが。
そこで、中国のネットでセミの幼虫を油で揚げた料理がどんなものなのか、調べて見ることにしました。
炸蝉蛹(ジャーチャンヨン)の作り方
セミの幼虫を油で揚げた料理は、「炸蝉蛹」(zha
chanyong)という名前だそうです。
▲こちらに色々と説明がありました。
蝉蛹含有丰富的蛋白质和多种氨基酸,是体弱、病后、老人及妇女产后的高级营养补品。蝉蛹是夏天的蝉脱壳前的“前身”,民间俗称知了,入伏之后立秋之前会有,尤其是树林子里面最多。城市中已经甚少见了。家里的这些蝉蛹还是去年夏天的时候,爸爸到老家的树林子里面去挖出来的。冻在矿泉水瓶子里一直保存到现在。
ようするに、
- タンパク質とアミノ酸が豊富
- 虚弱体質、病後、老人や産後の婦女の高級栄養品となる。
…とあり、この料理をする人の家にあるセミの幼虫は去年の夏に父が実家の林の中で掘ってきたものを、ミネラルウォーターの瓶に入れて冷凍保存していたもの…とあります。
冒頭に紹介した記事にも
川口市によれば、苦情の中には「幼虫をペットボトルいっぱいに入れていた」という目撃情報も寄せられたという。
とありましたので、これと符号します。セミの幼虫とくればペットボトル。冷凍すれば長期保存もOK…というわけです。
作り方などの詳細な写真は上掲の中国語サイトにありますので、見たい人はそちらをどうぞ。私はこの手のものは苦手なので見られません(´Д⊂グスン
ただ、「作り方」の最後の方に、
新鲜的蝉蛹炸出来是没有像爆米花一样的白色物质的。但我这是去年冻到现在的,会有白色的蛋白质流出来。
とありまして、新鮮なセミの幼虫を揚げたものは、ポップコーンみたいな白い物質が出ないそうで、長く冷凍保存したものを揚げると、白いタンパク質が流れ出す…らしいです。
セミの幼虫の揚げた料理の鮮度の鑑定法…使う機会はなさそうですけど、1つ貴重な「知識」が増えましたw
でも、セミの幼虫って本当に食べても大丈夫なんでしょうか?安全性が気になります。
セミの幼虫の安全性
▲こちらはアモイの17歳の少年がセミの幼虫を油で揚げたものを食べたら、ショックで倒れて病院に担ぎ込まれた…という記事。内容を追ってみると…
- 少年は4つか5つほどセミを揚げたものを食べた。
- 食後に公園を散歩していたところ、少年は体の力が抜けて、とてもカユクなり、突然倒れてしまった。
- 顔に発疹が現れ、血圧が下がり、アレルギー性ショック状態になった。
- 医師は、これらの症状がセミを食べたことと関係すると判断した。
- セミに含まれるタンパク質とアミノ酸は異性タンパク質に属し、摂取後にヒスタミンが大量に血液へ進入することで反応が現れ、厳重なアレルギー反応を引き起こし、皮膚、呼吸器、消化器、心血管系などの多くの器官が損傷する。
- アレルギーを引き起こす食品として、牛乳やピーナッツ、魚介類があるが、これらはアレルギー患者にもよく知られており、注意している。
- ところが、昆虫のアレルギーについてはあまり知られていないので、毎年病院には多くのアレルギー患者が担ぎ込まれる。
- これらの症状はセミ以外の昆虫でもありえるし、魚介類よりも発症の確率が高い。
つまり、昆虫そのものが危険かどうかというよりも、昆虫のタンパク質に対するアレルギーの有無がよくわからないので、思い切って食べちゃうとアレルギー反応が出る。それはかなりキツイものであり、魚介類のアレルギーよりも確率が多い…ということですね。
最近、昆虫食が流行っているので、気をつけた方がいいですね。川口市の役所も、ただ「食用に採るな」と張り紙するのではなく、この手のリスクを警告した方が良いかも知れません。
▲ちなみに、こちらは中国で出版されている「食用昆虫の図鑑」のようで、日本でも購入できるようです。こういう本の需要があるほどに、中国では食べるために昆虫を採取するのは普通のこと…なのでしょうか。