インスタグラムのアプリは、タグを通じて色んな写真を見ていると、アカウントの好みを判断して、自動的に好きそうな写真を選んで見せてくれる機能があるみたいだ。
検索のアイコンを押すと、何も入力していなくても、それまでに私が検索したことのあるタグの写真を並べて見せてくれる。
今朝、ふとインスタグラムを開いてみたら、この写真が表示されていた。ロレックス・サブマリーナーとデイトナである。それにしても、このサブマリーナー…どこかでみたような…と思って自分の手持ちの腕時計を改めて見ると…
こちらは昔、香港で購入したセイコーの「SKX027K」というモデルだが、サブマリーナーと瓜二つである。今頃になって気づいたが、SKX027Kはサブマリーナーのデザインをコピーしたモデルのようだ。
- ベゼルの形状とデザイン(0分から15分のところまでのライン)。文字の書体だけ違う。
- インデックスの形状と蓄光。インデックスに「フチ」がついているところ。
- リューズガードの形状
- ケースの形状
サブマリーナーと違うところといえば、デイ・デイトがついていること、針の形状ぐらいだ。まさか、ここまでソックリとは思わなかった。
SKX027Kについて
逆輸入モデルのセイコーダイバーズのファンの間で、SKX007は長く親しまれているモデルだが、私のSKX027Kはその「ボーイズサイズ」という位置づけであったらしい。香港の時計屋でそのように聞いた。
昔、香港にいた時にダイバーズウォッチが欲しくなり、数日悩んだ結果、SKX007ではなく、SKX027Kを選んだ。その理由は…
- SKX027Kは一回り小さい(ケースの幅は38ミリ。リューズの突起を含めると42ミリ)
- でも、中身のムーブメントは同じ7s26でデイ・デイト。
- ベゼルのデザインはSKX027Kの方がカッコいい。
- 一回り小さいことで、インデックスのデザインに凝縮感があって良い。
- インデックスのデザインが良いのと、「フチ」があることで精密感が増している。
- SKX007はインデックスの6時方向に赤っぽいオレンジ色で「DIVER'S 200m」と書かれており、膨張色が入ることで、白と黒の端正なデザインをぶち壊しにしている(※個人の感想です)。その点、SKX027Kは「WATER 10BAR RESIST」と白色で書いており、これでインデックスの見栄えが引き締まる(※個人の感想です)。
でも、私が好きなSKX027Kのポイントは全てサブマリーナーのコピーだったところばっかりですね。購入10年目にしてようやく気付きました(笑)。近年、中国のパクリ製品が問題視されますけど、日本の会社でも、ちょっと目につきにくい形で、「そっくり商品」を今も作り続けているのです。
SKX027Kは「ダイバーズウォッチ」ではありません
購入当初、店の説明もあって、SKX027Kを「ボーイズサイズのセイコーダイバーズ」と思い込んでいたが、買ってから細かいところを見ていると、これは「ダイバーズウォッチ」ではないことがわかった。
- SKX027Kは、インデックス6時方向に「WATER 10BAR RESIST」という表記されている。
- SKX027Kは、裏蓋に「WATER RESISTANT 10BAR」と刻印されている。
私はSKX007を持っていないので、裏蓋の表記を知らないけれど、SBCZ005(セイコーのダイバーズウォッチ)の裏を見ると「AIR DIVER’S 200m」と刻印されている。
▲こちら2つのページを見るとわかるように、「WATER RESISTANT 10BAR」は「日常生活用防水」である。上掲ページ(防水機能の種類と説明)によれば
水が掛かるまたは水に浸かる程度でございましたら大丈夫です。 ただ、海(波)やプールでの水泳などの水圧に耐えれるだけの防水機能はございません。
…と説明されている。SKX027Kは形だけは立派だけど、「ダイバーズ風ウォッチ」に過ぎないのであった…orz。一応「ねじ込み式リューズ」にもなっているんですけどね…
それと、JISのダイバーズウォッチの規格に合ったものでないと、インデックス「DIVER'S」と書けないようになっていたと思う(※これは私の不確かな記憶です)
意匠権問題回避のための「非ダイバーズ」化?
たぶん…私が想像するに、「ロレックス・サブマリーナー」そっくりのデザインで、ちゃんと「ダイバーズウォッチ」になっていると、パクリ問題に発展してしまう。
そこでセイコーは、サイズを小ぶりにして、「日常生活用防水」に留めることで、「これはサブマリーナーにちょっと似ているかも知れませんけど、そもそもダイバーズウォッチですらないんですよ」ということにしておいたのではないか…。
私は友人・知人から腕時計の購入について相談を受けることがたまにある。その時に「ダイバーズウォッチが欲しい」という要望が出てくると、SKX027Kを薦めていた。無論、「これはダイバーズ『風』なんだけどね」と断った上での話である。
私に購入の相談をしてくる人は、機械式のダイバーズウォッチをはめて、本当にダイビングするような人ではないので、雰囲気だけ楽しみたいのなら、ちょっとでも小さい方が楽ですよ…と言うのがオススメのポイントであった。でも後日、香港に行ってSKX027Kを探してみると、全く見当たらなかった。店の人に聞いてみても、「最近小さいのは入荷してないね」…という。
やっぱり、「ロレックス・サブマリーナーそのまんまのデザイン」はまずかったのだろうか。
セイコーの「ダイバーズ風ウォッチ」の後継機
私は時計好きの癖に、腕に時計をつけているのが嫌いな人間である。いや、つけていたいのだけれど、邪魔なのが困るのだ。だから、小ぶりで軽く丈夫なものをいつも探している。
余談すると、その探求の結果の1つがチプカシだった。でも、やっぱりデジタルじゃなくて、アナログのダイバーズを使いたい時があるのです。
潜水はしないけれど、やはりねじ込み式リューズの方が安心できる。回転ベゼルはあってもなくてもいいけど、ケース幅は40ミリ以下にしてほしい。風防は何が何でもサファイアガラスとは言わないけれど、それなりに頑丈なものにしておきたい…などなど。
そういう条件であれこれ探していると、こんなものを見つけた。
SKX027Kの後継機かな?
インデックスに「WATER 100M RESIST」とあり、 アマゾンの解説を見ると「日常生活用強化防水」と書いてあるから、やっぱり「ダイバーズ」ではない。「ダイバーズ風」である。よっぽど、セイコーってこのラインナップが好きなんですね(笑)
デザインはSKX027Kからちょっと変更があって、
- ベゼルのラインは「20」まで
- インデックスの12時の「▼」は真ん中を切って2つに分割。
- 「5」盾入り
- アマゾンや楽天のコメント欄によれば、これは「ねじ込み式リューズ」ではない。
…となっている。
最後の、「ねじ込み式リューズではない」というのは、この手の好き者としてはちょっと困る。コメント欄を読んでも、そういう感想になっている。
それと、正確なサイズがはっきりしない。各ページの表記が、リューズ込みのサイズなのか、リューズを含まないケース幅なのか…。
私はSKX027Kを他の腕時計とローテーションしながら、大切に使うつもりなので、「後継機」を購入することはないけれど、これから時計趣味を始める人たちのためにも、セイコーには意匠権問題を回避しながら、ボーイズサイズのダイバーズ風ウォッチ(もちろんねじ込み式リューズ)を作り続けて欲しい。
とりあえず「ダイバーズ」とのお付き合いを始める上で、非常に優れた入門機だと思われる。
おまけ:なぜ香港で機械式のダイバーズがたくさん売られているのか?
以前、香港で腕時計屋を片っ端に見てまわっている時に気になったのは、「なぜこんなに多く低価格帯の自動巻き腕時計が売られているのか?」ということと、「なぜこんなに多くのセイコーダイバーズ(しかも自動巻き)が売られているのか?」ということだった。
香港は何処に行っても「セイコー5」が売られており、「セイコーダイバーズ」も行く所にいけばたくさん売っている。香港人でセイコー5を使う人はたまに見るけれど、セイコーダイバーズを使っている人はほとんど見なかった。香港には腕時計が趣味の人が多いものの、やっぱり圧倒的人気はGショックで、機械式となればスイス製、近年ならパネライが流行していたけれど、セイコーダイバーズの使用者は1度しか見たことがなかった。
この質問を香港の時計屋にしてみたら…
- 香港は観光客が多いので彼らが買う。
- 香港にたくさんいるフィリピン人やインドネシア人のお手伝いさんが国へ帰る時におみやげにする。
- なぜ機械式なのかと言えば、フィリピンやインドネシアの田舎へ行くと、電池交換ができない地域があるから。
- 機械式はたまに調整・メンテしないといけないけど、フィリピンやインドネシアの田舎の人はそれほど「精度」が必要な生活をしていないので、少々進もうが遅れようが構わない。
- フィリピンやインドネシアにはたくさんの島があって、お手伝いさんの父や兄弟が漁師をやっていることが少なくない。そういう人におみやげでダイバーズウォッチを買って帰る。フィリピン・インドネシアの離島となれば、電池交換は難が多いので、やはり機械式が好まれる。
- そこで、安くて頑丈で電池交換が不要な機械式のセイコーダイバーズが選ばれる。
…という回答であった。
ちなみに今ググってみると、インドネシアは世界最多の島嶼を抱える国で、その数は13466。世界第二位はフィリピンで7107の島がある。だから、香港の時計屋の話も信憑性は高い。
フィリピン、インドネシアにある合計2万以上の島のどこかで、腕に機械式のセイコーダイバーズをはめた漁師たちが、何十万人、何百万人といて、毎日海に出て活躍している…と想像すると、セイコーダイバーズのファンとしては嬉しくなりませんか?
いつか私もセイコーダイバーズをはめて、フィリピンかインドネシアを旅して、機械式セイコーダイバーズを使う漁師たちと会ってみたい…と思うのです。
セイコーダイバーズウオッチ進化論 (ワールドムック 1078)
- 作者:徳永幾男
- 発売日: 2015/06/12
- メディア: ムック