読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

黒色中国BLOG

中国について学び・考え・行動するのが私のライフワークです

沖縄「土人」発言と琉球独立

琉球独立 沖縄
SPONSORED LINK

沖縄のヘリパッド建設現場での機動隊員による「土人」発言が大きな注目を集めている。

私もこの件はツイッターで当初から注目していたが、懸念していた事態が進行しているようなので、こちらに記録しておこうと思う。

「土人」発言が沖縄に与える影響

「土人」発言の報道直後、私は次のようなツイートを発信していた。

大げさな話に聞こえるかも知れない。

この数年、沖縄での動きには注目をしていた。沖縄は日本の中でも、中国の脅威に最も近い場所でさらされる地域であり、そこで独立の動きが高まってきていたからだ。

そのため、「琉球独立」の書籍を読んだり、関連の情報に目を通していたのだが、そういうことから、今回の「土人」発言があった時に、これは「琉球独立」を後押しする国家分裂行為になると直感したのである。

「『土人』なんかじゃない、同じ日本人だ」という反応はしてはいけない

「土人」発言発覚後、沖縄二大紙は、連日このニュースの動きを伝え、識者や著名人へのインタビューも掲載している。反沖縄差別キャンペーンを展開しているのだろうが、その中の1つに気になるものがあった。

こちらの記事から、私が気になった箇所を引用してみる。

これは言った者と言われた者の個人的な体験ではなく、日本人と琉球人の間で起こった公的な事件だ。

発言者が何をもって「土人」と言ったのかは分からないが、私たちは「『土人』なんかじゃない、同じ日本人だ」という反応はしてはいけない

それでは自らに降りかかる火の粉を降り払っても、差別構造自体は容認していることになるからだ。 

親川志奈子さんは、沖縄大学の非常勤講師である。写真を見る限り、若い女性であるが考えがしっかりしている。更に読み進めてみる。

私が「女のくせに」と言われたとき、「私は女なんかじゃない」と返すほど滑稽なことはない。

少数派や弱者であることが問題なのではなく、少数派や弱者を差別する社会が問題なのだ。

多数派や権力側に付くことに価値を置き、彼らに同化する必要はない

(中略)

多数派の一部になることで得られるものはなにもない。

私はこれを読んだ時に、本当に言いたいことを、別の言葉に言い換えているのではないか…と直感した。この主張の核心は、決して反差別ではない。

機動隊員の「土人」発言についてインタビューを受けているものの、彼女の主張は今回の暴言とは、全く別のところに向けられているのではないか。

琉球新報の「土人」発言に関する識者・著名人の記事で他に取り上げられているのは、茂木健一郎尾木直樹安田浩一…と有名人ばかりであるし、沖縄タイムスの同様の記事で取り上げられているのは、大城立裕(芥川賞作家)である。

そんな中に、なぜ若い大学非常勤講師が出てくるのか…よっぽどの「識者」なのか…彼女の専門はなんなのだろう?

琉球民族独立総合研究学会

彼女の名前をググってみたら、私の疑問はすぐ明らかになった。

琉球民族独立総合研究学会は、琉球の日本からの独立を目指し、松島泰勝(龍谷大学教授)、友知政樹(沖縄国際大学教授)、桃原一彦(沖縄国際大学准教授)、親川志奈子(オキスタ107共同代表)、照屋みどり(しまんちゅスクール)らが2013年5月15日に設立した学会組織である。

琉独学会の設立メンバーの1人だった。

この記事をどれだけの人が読むものなのか…その影響力は私の知る限りではないが、彼女の考えを一読して感じたのは非常に巧みである…ということ。琉球人アイデンティティを確立させるためのイデオロギーがしっかりしている。

▲2013年7月1日のAERAの記事で親川志奈子さんを取り上げている。

設立委員の一人、親川(おやかわ)志奈子(32)は大学院の博士課程で「危機言語」の継承教育を研究する。もともと英語教育を専攻していたが、留学先のハワイで母語の復興や主権問題に取り組む先住民族と出会い、シマクトゥバ(島言葉)も話せないのに英語を学ぶ自分に違和感を覚えた。

 沖縄では島々や集落に独自の言葉があるが、戦前から60年代にかけて学校で日本語が励行され、いずれも消滅の危機にある。親川は昨年、国連人権理事会の下部組織の会議で、そうした現状を訴えた

専門は語学である。

もう一つ、記事をみつけた。

こちらは東京新聞2015年5月19日の記事の転載である。

その下にプロフィールがある。

親川志奈子さん(琉球民族独立総合研究学会理事)
 [おやかわ・しなこ] 1981年沖縄県生まれ。琉球大学大学院博士課程在籍。ハワイに留学した沖縄人らと「沖縄の脱植民化」をテーマに研究を始め、2013年に設立した学会の発起人となる。

琉球新報のインタビューでの受け答えは極めて立派なものである。語学以外の学問的素養を感じたが、それらしきものは見当たらない。

ハワイ留学時から「沖縄の脱植民地化」の研究を始め、琉独学会の発起人となり、現在は理事を務めている人なので、それらの研究の中で、琉独の理論を鍛えてきたのだろうか。

琉球人アイデンティティの醸成

今回の「土人」発言のような、社会的にインパクトの強い問題が発生した場合、沖縄の人々の、日本人としてのアイデンティティに、大きな揺さぶりがかけられることになる。

「琉球独立」は非現実的な、荒唐無稽な絵空事として笑われながらも、実現のための学問的な準備は進んでおり、独立実現の初歩段階の1つとして、「琉球人としてのアイデンティティ」を如何に確立させるのかも研究の対象になっているのだろう。琉球新報の記事は、その一端を伺わせるような内容であった。

そして、このような時に琉球新報は間髪入れず、「識者の声」として彼女の正体を明らかにせず、「琉球独立」の言葉も一切含まずに、「土人」発言問題を、琉球人アイデンティティの醸成に結びつけてしまうのだから、これまた極めて巧みである。

本土側で、「土人」「シナ人」は差別語ではないとか、機動隊員も罵倒されているなどと騒いでいるのを尻目に、琉球独立はちゃっかり何歩か先に進んでしまったのではないか。沖縄の情勢を観察するには、目先にとらわれず、もっと大局に立たねばならない…と自戒した次第である。

実現可能な五つの方法 琉球独立宣言 (講談社文庫)

実現可能な五つの方法 琉球独立宣言 (講談社文庫)