黒色中国BLOG

中国について学び・考え・行動するのが私のライフワークです

北朝鮮海域で活動する中国漁船の謎…中国黒社会と北朝鮮軍、金正恩との関係

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毎日、中国のニュースをチェックしていると、北朝鮮当局に中国漁船が拘束されたとか、韓国海警が中国漁船を捕まえたとか、そういうニュースをよく目にします。

前から、あのあたりで活動する中国漁船は、一体どういうことになっているのか気になっていたのですが

▲こちらのニュースで詳細が解説されていましたので、こちらでもご紹介しようと思います。

今回のはちょっと長めです。以下、要訳すると…

  • 中国漁船は北朝鮮海域で漁を行い、更に南下して韓朝海上分界線(北方限界線…NLLのことと思われ)まで漁にやってくる。
  • 韓国の報道によれば、丹東(中国遼寧省の北朝鮮対岸の都市)の黒社会(ヤクザ)が朝鮮での漁業に介入し、入漁料を指定の銀行口座に支払っている。入漁料を支払わずに朝鮮海域で漁をすれば、朝鮮軍に逮捕され罰金を払わせられる。
  • 韓国の漁民は、今年の春から、中国漁船が北朝鮮の沿海で漁をしているのを察知していた。さらに、北方限界線の海域まで南下してくることもある。

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▲【参考写真】2016年5月5日、北朝鮮当局に拿捕された中国漁船「遼普漁25222」

韓国国家情報院の国会報告(2016年7月)

  • 韓国国家情報院が今年7月に国会情報委員会に報告した内容によれば、北朝鮮当局は毎年3千万米ドル(現在のレートで約30.8億円)で、中国に北朝鮮西海岸の漁業権を売却している。

韓国聯合ニュースの報道(2016年8月)

  • 今年8月の韓国聯合ニュースの報道によれば、北朝鮮は7500万米ドル(約77.1億円で中国に、北朝鮮の東西両岸の海域での漁業権を売却している。
  • この報道によると、7500万米ドルは、金正恩の口座に振り込まれ、彼の特殊用途の統治資金に使われる。

韓国国営テレビ局KBSの報道

  • 韓国国営テレビ局のKBSの報道によれば、丹東東港の黒社会は、北朝鮮海域での漁を北朝鮮軍と共に「ビジネス」としている。
  • 北朝鮮海域に入り漁をする船は、黒社会が通知する銀行口座に入漁料を振り込めば漁が出来る。一般的に入漁料は7~8万人民元だと言う。

  • 山東省石島は、栄成と威海の間にある漁村であり(訳注:上記グーグルマップをご参照下さい。山東半島の端っこです)、沿海漁船と漁業の集散地となっている。
  • この地の企業家によると、丹東の黒社会が言うには、もし入漁料を払わずに北朝鮮海域に入れば、北朝鮮側に逮捕され、100万、あるいは80万の罰金をとられる。(単位はわかりませんが、たぶん人民元でしょう)
  • だから、北朝鮮海域で漁をする際は、丹東東港の黒社会に先に連絡を取らねばならない。

3つの情報を総合すると…

  • これらの3つの情報は全て、北朝鮮が中国に向けて沿海の漁業権を売却していることを示すが、「入漁料」が金正恩北朝鮮軍のいずれに支払われているのかはハッキリとしない。
  • しかし、中国漁船が中国の国旗を掲げて、北朝鮮沿海、そして北方限界線まで南下して漁を行っているのは確かである。
  • 北方限界線は、南北双方が漁船の接近を制限しているため、この付近は魚やエビがたくさんあつまる豊かな漁場となっており、中国漁船はこの付近で魚を捕っている。
  • 韓国海警がやって来れば、中国漁船は慌てもせずに境界線を越え、北朝鮮の海域へと帰って行く。
  • 韓国は、在韓米軍と共に北方限界線でパトロールを行い、中国漁船の活動阻止を望んでいる。

丹東と北朝鮮

日本の報道を見ていると、北朝鮮が崩壊するとよく言われ、亡命者などもたびたび出るわけですが、経済制裁を受けても、なかなか崩壊しません。それどころか、核兵器やミサイルを開発して、日々強大になっている印象を持ちます。

一体、資金源はどこにあるんだろうか…と思っていたのですが、今回の漁業権の件の他にも、最近のニュースを思い出すと…

…たぶん、丹東には、北朝鮮に「モノ・カネ」を供給するための窓口があるような気がします。

北朝鮮に経済制裁をすると、海外や日本のマスコミでは、その効果をみるため、中国税関のデータなどをニュースで取り上げていますけど、今回の漁業権のように、黒社会が絡んでいれば、資金の流れは表に出てこない。経済制裁にひるむことなく、北朝鮮は核兵器やミサイルの開発を続けることができるわけです。

中国は北朝鮮を止められるか

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