黒色中国BLOG

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中国が抗日戦争の期間を14年に「延長」…の真意とは?

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昨日話題になったのはこちらのニュースでした。

産経の記事では

習政権には歴史教育を通じ、対日姿勢を一段と強める狙いがありそうだ。

…と締めくくっており、ツイッターでの他の皆さんの意見も似たようなものでしたが、私自身はこれに「違和感」を感じていました。

満州事変と東京裁判

そもそも、「抗戦」の開始年を、盧溝橋事件から始まる支那事変があった「1937年」にしていたのが私としては不思議でした。なぜ「満州事変」(1931年)は入らないのか。

要するに、支那事変…大東亜戦争の開始年に合わせて、「抗日戦争」の開始年とし、「第二次世界大戦で中国は日本と戦った」と言ってきたわけですが、東京裁判で日本の「侵略」は1928年から開始していることになっているので、中国の主張する「抗日戦争」に満州事変が入っていても全然おかしくないわけです。

ちなみに、1928年には張作霖爆殺事件が起きているので、そのあたりから日本の中国「侵略」が開始していると定義するのは充分可能でしょう。

趙一曼と楊靖宇

とは言え、「侵略」を受けても、それに抵抗する武力闘争が中国側から行われなければ、「抗戦」にはなりません。

趙一曼(CRI)

楊靖宇 - Wikipedia

今回の「期間改定」では、満州で活躍した抗日パルチザンの趙一曼と楊靖宇を利用して「延長」するとの報道があります。

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▲趙一曼(ウィキペディアより)

確かに趙一曼は1931年から満州で活動を開始していますから、このような「歴史修正」が可能なのでしょう。

今回の歴史修正の意義は何か?

RFAの記事で、今回の歴史修正がなぜ行われたか、分析が幾つか掲載されていましたので、要訳してみます。

  • 分析によれば、中国教育部が抗日戦争期間を延長するのは、中共抗戦神話を更に捏造するためである。
  • 山東大学の孫文広元教授によれば、「過去において、国民党も抗戦8年を主張していたが、現在共産党は14年に延長している。これは国民党が1931年から1937年まで共産党の包囲殲滅戦を展開していたのを説明し、人民に国民党のネガキャンを行うためである」
  • ニューヨーク市立大学の夏明教授によれば、中国教育部が抗戦8年を14年にするのは、共産党の抗戦神話を更に作り上げるためである。
  • 「中国共産党は東北(満州)の抗日英雄趙一曼と楊靖宇などの功績を利用して、抗日のイメージを輝かしいものとすることが出来る。同時に、長征が戦術上の潰走であったのを、戦略上の北上抗日の壮挙と書き換えられる」
  • 「共産党は抗戦を6年延長することで、自身を美化し、国民党の抗戦の功績を貶める」

RFAの記事では、「習政権には歴史教育を通じ、対日姿勢を一段と強める狙いがありそうだ」というような内容は一切見られませんでした。

「抗戦の時にどこで何をしていたのか?」

中国共産党を中傷する定番のネタとして、「抗日戦争の時にどこで何をしていたのか?」というのがありますけど、抗戦期間を延長することで、

「1931年から1936年まで国民党は何をしていたのか?」

「西安事件の前に国民党は何をしていたのか?」

「中共は満州にパルチザンを送り込んで日本軍と戦っていたけれど、国民党は中共の囲剿戦をやってても、日本軍と戦ってなかったじゃないか。本当に国のために戦っていたのはどっちなのか?」

…と言えるわけです。

どうやら、今回の歴史修正の真意は、抗戦期間を延長することで、反日意識を高めよう…というよりも、中国共産党の反ファシズム戦争における功績を高めて、国民党を貶める目的の方が大きいように思われます。

抗日戦争中、中国共産党は何をしていたか―覆い隠された歴史の真実

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