黒色中国BLOG

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【香港の朝食】(2)「総合芸術的ホットドッグ」とは何か?

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香港の美食と言えば、まず広東料理を思い浮かべる人が多いと思うけれど、私が実際に香港に住んでから気付いたのは、西洋料理も美味しいということ。

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パンや肉を使った料理が美味しくて、特にホットドッグは各店のコダワリを感じた。

ホットドッグの専門店も幾つかあり、そういう店をよく探し歩いた。

私の香港ホットドッグ店巡礼の中で、最高峰と思ったのが、銅鑼湾(コーズウェイベイ)にあった『歌美咖啡餐屋』 (Gourmet Coffee and Delicatessen)という店である。今は既にない。

アドミラリティに支店らしき店があるのだが、私はそちらに行ったことがない。

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土日の仕事が無い朝は、少し遠出して、いつもとは違う朝食をとるのが私の楽しみだった。

パン屋のホットドッグは作りおきだけど、ここのホットドッグは注文を受けてから作り始める。ホットドッグ1つに、随分待たされた記憶があるけれど、いつも他の客がいるためか、ここのホットドッグを愛するあまり、待つ時間が長く感じられるのか。

香りと歯ごたえを大切にする香港人

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ムチムチのプリプリしたソーセージ。手際よく炒めたマッシュルームには焦げ目が少し付いているけど香りと歯ごたえは残されている。

それに刻んだピクルスと玉ねぎ。玉ねぎは生で新鮮なので、食べようとして顔を近づけると目に刺激が感じられ少し涙がにじむ。軽く焼かれて香ばしいパンにそれらを挟み、タップリとマスタードをかけて出来上がり。

香港人は、香りと歯ごたえを極限まで重視する人たちだと思う。柔らかさ、固さ、ムチムチ、プリプリ、しっとり、サクサク、カリッと、ヌルっと、フニャッと、ジュルッと、目にしみる、鼻にツーンとくる…こういう食感を重ねながらもメリハリをつけて使いこなす。それらの上に、各素材と調味料が奏でる「味」がある。

ホットドッグを1つ食べただけで、あらゆる食感と味覚が刺激され、食欲を深く満たされるし、何よりもこの躍動的で色彩豊かなビジュアルが素晴らしい。既にこれは『ファストフード』ではない。『総合芸術』の域に達している。

そしてこのホットドッグを、濃厚に抽出しキリッと冷やされ、厚切りのスライスレモンとガムシロを容赦なくブチ込んだアイスティーで胃の奥へ押し流す。

全部食べ終わり、飲み干した後には、映画1本観たぐらいの達成感と充実感がある。ドラマティックでエキサイティング…そういうのが、香港のホットドッグである。

新版香港無印美食2012

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  • 作者:龍 陽一
  • 発売日: 2012/03/01
  • メディア: 単行本

【香港の朝食】(全5回)

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