6月9日以来…毎週末にデモや衝突が繰り返され、最近はほぼ連日香港のどこかで警察と抗議者の衝突が繰り返されておりますが、1つ気になるのは抗議者の皆さんはどのようにして「お金」の問題をやりくりしているのか。
毎週…最近はほぼ毎日、香港内を移動し、デモに参加し、ヘルメットをかぶりマスクをして、ポスターも用意して…って大変そうですよね?
1回ごとの費用は小さくても、何度も繰り返せば(もう2ヶ月近く続いています)、これって結構な金額になるのではないか…いつも中国のニュースを読んでいる私からすると、そういうことが気になってきます。
そこで、香港在住で、デモをウォッチしている石井大智さん
に質問してみたところ、詳しい情報が寄せられましたので、こちらで共有しておきます。
【目次】
7月26日の空港デモ
LIHKGに外国勢力介入批判をあえて揶揄した多言語ポスターが上がっているのでこれが拡散されているのではないですか?デザイン同じそうですか? pic.twitter.com/TEPfxa7dVH
— Daichi Ishii 石井大智 @香港•深圳 CUHK Ph.D. (@Daichi_Ishii) 2019年7月26日
▲最初に気になったのは、空港内の抗議者が同じデザインのキレイなポスターを持っていることでした。どこかで一括して印刷しているのか、個人で印刷しているのか…
ご質問のお答えですが、基本みんなネットで拾って自分で印刷してきたと答えられました。印刷されて配布されていたのはこれとは違うバージョンですが、配布している人に伺ったところネットから拾ってきたということです。
— Daichi Ishii 石井大智 @香港•深圳 CUHK Ph.D. (@Daichi_Ishii) 2019年7月26日
▲その回答がこちら。ネットでポスターのデータは共有して、各自印刷をして持ってきている。
遅くなりました。空港のデモに置いて募金活動をしている人は全くいませんでした。他のデモでは募金活動をよく見ますが、だいたい何らかの組織、特に学生組織がやっていることが多いですね。金品の寄付は受け取らないとしている団体も多いですが
— Daichi Ishii 石井大智 @香港•深圳 CUHK Ph.D. (@Daichi_Ishii) July 28, 2019
▲そして、空港での抗議活動で募金はなかったそうです。
(1)物資の支援
それから10日ほどして、また石井さんから現地レポートをいただきました。
<香港のデモでどのような支援がされているか>
— Daichi Ishii 石井大智 @香港•深圳 CUHK Ph.D. (@Daichi_Ishii) August 6, 2019
1.物資の支援
物資の支援がされているというのは言うまでもないことかもしれませんが、その中でも特に目立つのは衣服の支援です。特に白シャツ隊の襲撃が起きてから増えたように思えます。どのように支援しているかというとMTRの駅構内に袋を放置して
そこから自由に取るという形です。デモ参加者はデモが発生した場所ではなくそこから少し離れた場所で少人数になったところで警察に捕まることも多く(といってもIDと荷物検査程度で逮捕までされた例はそう多くないと思いますが)、帰る途中に警察に捕まらないようにするためというのもあるでしょう。
— Daichi Ishii 石井大智 @香港•深圳 CUHK Ph.D. (@Daichi_Ishii) August 6, 2019
服を始めどの物資がどこにあるかというのはTelegramで常に発信されており、今週からはほぼリアルタイムで更新するマップを写真で作って拡散されています。
— Daichi Ishii 石井大智 @香港•深圳 CUHK Ph.D. (@Daichi_Ishii) August 6, 2019
▲抗議活動の帰りに黒シャツを着ていると、警察や白シャツ隊に目をつけられやすいので、別の服を用意してくれている…ということかな。
そういえば、私も、つぎに香港へ行く時にどんな色の服を着ていけばいいのか迷っていたところでしたw。
(2)住居の支援
2.住居の支援
— Daichi Ishii 石井大智 @香港•深圳 CUHK Ph.D. (@Daichi_Ishii) August 6, 2019
デモに積極的に参加している若者の中には家出をしている人も多いようです。周知の通り、
香港はその家賃の高さから、少なくとも結婚までは何歳になろうと自身の両親と居住することが一般的です。デモで過激なことをしている私と同年代程度の若者の親御さんの世代はデモ自体に反対する
ことはそう多くないもの、やはり自分の子どもには行って欲しくないと思っている方が多いようです。
— Daichi Ishii 石井大智 @香港•深圳 CUHK Ph.D. (@Daichi_Ishii) August 6, 2019
そうやって親に止められるのを避けるために家出をする人がいるというのは聞いたことがあります。そんな家出をするデモ参加者のために一人暮らしをしている人が自分の家を貸すようなTelegramが
あるようです。家出まで行かなくとも当日深夜までデモに参加して家に帰らなくなってしまったというケースもあります。その際のシェルターとして教会や大学の学生会が場所を開放していることも。
— Daichi Ishii 石井大智 @香港•深圳 CUHK Ph.D. (@Daichi_Ishii) August 6, 2019
(ちなみに団地のパスワードがTelegram上で流れていたのですが、それは単に警察からの緊急避難場所だったのかなと思います)
— Daichi Ishii 石井大智 @香港•深圳 CUHK Ph.D. (@Daichi_Ishii) August 6, 2019
▲これ、私も雨傘運動の時に大変困らされたポイントです。
私は香港で友人の家に泊まっていたのですが、友人とその家族は、私が占拠地に近づかないようにと心配していたので、夜はいつも10時ぐらいには家に戻って占拠地に遅くまで居られませんでした。最後の3日間は、「深センへ行ってくる」と行って、占拠地で野宿しましたが…なぜこんな変な居留守を使わねばならぬのかw。でも、香港人の若い抗議者だったら、私と同じ悩みにぶつかるわけです。
(3)交通の支援
3.交通の支援
— Daichi Ishii 石井大智 @香港•深圳 CUHK Ph.D. (@Daichi_Ishii) August 6, 2019
MTRの駅でOctopusを使いたくないデモ参加者のために数十枚から数百枚切符を使い切りの切符を買って配布している人がいます。10HKD程度の切符を配布しているようですが、数十枚でも結構な金額になりそうですね。券売機の横に置いておくケースと地下鉄の入り口で手渡しで
配っているケースがあります。この支援は金銭的な支援という意味ももちろんあると思いますが、券売機に並んでいる間にMTRに通過されてしまえば帰れなくなる/警察に捕まるかもしれないという危険性を感じていて、そのためにできるだけ多くの人に早く帰ってもらうために配布しているのだと思います
— Daichi Ishii 石井大智 @香港•深圳 CUHK Ph.D. (@Daichi_Ishii) August 6, 2019
あとはカーシェアリングで車を持っている人がTelegramのadminに自分のナンバーと行ける場所を送って乗り合って駅閉鎖後もうまく帰宅しているというのはよくあるみたいで私が見た限りで最大50台ぐらいのリストを見たことがあります。
— Daichi Ishii 石井大智 @香港•深圳 CUHK Ph.D. (@Daichi_Ishii) August 6, 2019
以上です!
▲この点、非常にきになっていたのですが、切符を配る人がいるのですね…確かに、抗議活動を終えて家に戻ろうとする抗議者を、白シャツ隊や警官が駅で襲撃するケースを私も何度か映像で見ました。券売機でモタモタしていたら、その間に捕まってしまうので、こういうことになっているのかと。
▲こちらは7月7日の尖沙咀のデモが終わった後の様子です。この時はまで駅で襲撃されるケースはなかったわけですが、今では、こんな風にたくさんの抗議者が乗車券を買うために並んでいると、警官や白シャツ隊に襲われるわけです。
でも、乗車券を大量購入しているのは誰なんだろう?という疑問は残りますが。
…とにかく、このようにしてお互いに助け合って、抗議活動に必要な諸経費をやりくりしている…という状況のようです。