新型コロナウイルス肺炎について、日本では検査してもらえない、検査しても陽性適中率が不確かだ…との情報があり、ツイッターでも肺炎の症状があっても検査をしてもらえず、自宅療養している…というようなツイートを何度か見かけた。
そうした中…
【既存の薬と中国医学の伝統薬、新型肺炎に効果あり 専門家】
— 黒色中国😷 (@bci_) 2020年2月21日
10省57病院で701人の患者に「清肺排毒湯」を投与し観察した結果、130人が治愈・退院、51人は症状がなくなり、268人は症状が改善、212人は症状が安定し悪化しなかったという。 https://t.co/eCynEQMs4s
▲こちらのニュースで「清肺排毒湯」(せいはいはいどくとう)なる漢方薬に症状を改善・安定化させる効果があるかも?というのがわかった。
そこで、この清肺排毒湯を日本でも入手できるのか?どこに行けば販売しているのかを調べてみました。
【目次】
(1)清肺排毒湯の処方
アマゾンで「清肺排毒湯」を探してもありませんでした。つまり売薬として商品化されているものではありませんので、調合してもらう必要があります。
▲処方はこちらに記載されておりました。以下、抜粋し日本語訳をつけてみました。
- 麻黄(マオウ)…………………9g
- 炙甘草(シャカンゾウ)………6g
- 杏仁(キョウニン)……………9g
- 生石膏………………………15-30g(先煎)
- 桂枝(ケイシ)…………………9g
- 沢泻(タクシャ)………………9g
- 猪苓(チョレイ)………………9g
- 白术(ビャクジュツ)…………9g
- 茯苓(ブクリョウ)……………15g
- 柴胡(サイコ)…………………16g
- 黄芩(オウゴン)………………6g
- 姜半夏(キョウハンゲ)………9g
- 生姜(ショウキョウ)…………9g
- 紫菀(シオン)…………………9g
- 冬花(款冬と思われ。後注)…9g
- 射干(ヤカン)…………………9g
- 細辛(サイシン)………………6g
- 山薬(サンヤク)………………12g
- 枳実(キジツ)…………………6g
- 陳皮(チンピ)…………………6g
- 藿香(カッコウ)………………9g
▲この中で「冬花」だけが日本での検索ではヒットしませんでしたが、
▲百度百科の中で「款冬」の解説に「別称:冬花」とあるので、冬花は款冬と見て間違いなさそうです。
以上、薬品のことになるので、あくまでもご参考まで。詳しくは漢方医と御相談ください。
※私が日本の漢方医に聞いたところ、中国語(簡体字)の処方だと読めない…と言われたため、こちらの日本語訳を作ってみました。
(2)「清肺湯」との違い
こちらで聞き込みを重ねている内に、
「それは清肺湯(せいはいとう)ではないのですか」
…と何度か言われました。
調べてみると…
▲こちらに処方が公開されておりました。
- 麦門冬(バクモンドウ)
- 天門冬(テンモンドウ)
- 杏仁(キョウニン)
- 桔梗(キキョウ)
- 貝母(バイモ)
- 桑白皮(ソウハクヒ)
- 陳皮(チンピ)
- 黄ごん(オウゴン)
- 山梔子(サンシシ)
- 当帰(トウキ)
- 茯苓(ブクリョウ)
- 五味子(ゴミシ)
- 竹ジョ(チクジョ)
- 大棗(タイソウ)
- 生姜(ショウキョウ)
- 甘草(カンゾウ)
▲処方を見るに、清肺排毒湯と被っているところもありますが、清肺排毒湯では使われないものもあり、元々使われている生薬の数も清肺排毒湯より少ないです。だから、名前は似ているし、中身も被っているけど、「清肺湯」と「清肺排毒湯」は別物として認識する必要があります。
(3)「漢方薬局」と「漢方クリニック」
調合が必要な漢方薬の入手方法としては、
- 漢方薬局
- 漢方クリニック
▲この2種類がありますが、
▲その「違い」は、こちらに詳しく説明されております。
手っ取り早くいえば、
- 漢方薬局(自由診療、保険適用外、早い)
- 漢方クリニック(保険適用される、遅い)
…ということになります。
そこで実際にある漢方クリニックに連絡して診療と清肺排毒湯の有無、費用などを聞いてみたとこと、次のようになりました。
(4)漢方クリニックは時間がかかりすぎる
漢方クリニックで伺った話の内容をまとめると…
- まずは問診を受ける。
- それから予約を取って漢方医に診断してもらう
- そこに至るまでが今すぐから動いても3月中旬頃
- 保険3割負担の場合、初診料は1120円。
- 清肺排毒湯をお出しするかは症状を見てからの判断
- 状況によっては他の薬をオススメするかも知れないし、清肺排毒湯に合わせて別のお薬を一緒にお出しするかも知れない。
- だから、清肺排毒湯単体の値段を伝えることはできないが、保険適用されるため、びっくりするほどの高価なものになることはない(※金銭感覚については人それぞれでしょうが)。
…という状況なので、いま熱を出して、咳が出て、気分が悪い…新型コロナウイルス肺炎じゃないか?どうせ保健所は検査もしてくれない!じゃあ、ネットで話題になっている「清肺排毒湯」をゲットだぜ!と思って、漢方クリニックにすぐ行っても、2週間近く過ぎないとお薬はいただけません。
…というわけで、急ぎの人は漢方薬局を利用するのが現実的な選択肢となります。
(5)漢方薬局に聞いてみたところ…
漢方薬局をいくつか当たって見ましたが、現段階でわかっていることをまとめると次のようになります。
- 基本的に、清肺排毒湯のことを知らない。
- 「清肺湯のことでは?」と言われる。
- 処方などを伝えて話を伺うと「作れるが、全ての材料があるのか確認してみないと…ないものは取り寄せる必要があるのでちょっとお時間ください」とのこと。
- 費用は全ての薬材が揃わないと答えられない。
…とお答えいただきました。
私が聞いたのは全て日本人がやっている漢方薬局なので、清肺排毒湯はあまり認知されていないのかも。中国人や華僑の人がやっている漢方薬局を当たれば、話は早いのかも知れません。
ただ、話を伺った漢方薬局の1つで、
「清肺排毒湯でなくても、肺炎やその症状を抑えたいのなら、他の漢方薬でも良いのでは?」
との回答がありました。
麻杏甘石湯(まきょうかんせきとう)
▲ウィキペディアでの解説。確かに「気管支喘息、気管支炎、肺炎など」に適応するとあります。
▲麻杏甘石湯は各社から販売されてますのでネット通販でも買えますね。そんなに高いものではありません。
漢方薬局で調合してもらう場合は1回分300円程度とのことでした。
小柴胡湯(しょうさいことう)
▲ウィキペディアでの解説。冒頭に「肺炎、感冒、慢性肝炎、胃腸疾患などに用いられる漢方薬の処方」とあります。
▲アマゾンでもありますね。
とはいえ、ちょっと待て
私もなんだかんだで、長く中国と関わっておりまして、体調を崩したり、風邪を引いたりすると、中国や香港の友人から、漢方薬を勧めてもらうことがあり、何度か服用したことがありました。
漢方薬はその人の体調などにも合わせて出されるものなので、素人がネット通販で適当に選んで買って飲んで…というのが本当に良いことなのか、ちょっと判断できません。というより、それはしない方が良いのでは。
上掲の麻杏甘石湯や小柴胡湯のウィキペディアの中身をよく読んで欲しいのですが、何かといろいろ書いているでしょう?やっぱりちゃんとした漢方医なり専門家の意見を聞いてから服用するのが無難に思います。
とはいえ、漢方クリックは時間がかかりすぎて急ぎの用に間に合わない。でしたら、少なくとも漢方薬局に行って、ちゃんと相談の上で体質や症状にあったお薬を選んでもらった方が良いように思いました。
以上、ご参考になれば幸いです。
※清肺排毒湯については追跡調査しているので、また何か分かり次第、こちらに追記する予定です。