黒色中国BLOG

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21世紀の現在にコミンテルンは実在するのか

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昨日気になったツイートはやっぱりこれですね

▲すでにまとめが出来上がっています。私のツイートもこちらに収録されています。

コミンテルンは1919年に結成され、1943年に解散しているので、既に消滅してから73年間が過ぎています。

戦前、戦中の歴史の話をする上で、「コミンテルン」が出てくるのは理解できますが、最近のツイッターを見ていると、日本の右派の一部から「コミンテルン」が現存しているかのような主張が見受けられます。

以前から奇妙な気がしていたのですが、そこに来て、杉田水脈さんの産経のコラムが出てきたわけです。

どのように考えたら、コミンテルンが現存しているような話になるのか、調べてみました。

歴史上のコミンテルンと手法上のコミンテルン

理解するための手がかりを探していたら、上念司さんのツイートに興味深い説明がありました。

 これなら理解できます。杉田水脈さんが主張されている「息を吹き返しつつある」のが、「手法上のコミンテルン」なのかは不明ですけど、この解釈であれば、21世紀の現在にコミンテルンが「息を吹き返す」のも可能ですね。

会議外交の時代

以前、私が書いたブログ記事にこんなのがあります。

日中国交回復の20年前…1952年に北京で行われた国際会議に日本人が参加していた。参加していたのはいわゆる左翼系の人たちで、スターリン国際平和賞を受賞した人も含まれていました。

本物のコミンテルンが解散してから9年後、北京に舞台を移して、国際左翼連携が始まっており、日本人も参加していた…こういうのは、コミンテルン陰謀論が好きな人なら嬉しくなる話じゃないでしょうか(笑)

かつて「会議外交」というのが頻繁に行われた時代がありました。世界各国から人が集まって特定のテーマについて会議を開き、そこで人的交流を深めたりするわけですが、上掲のブログ記事にある1952年の「アジア太平洋地域平和会議」も、この1つと見ていいと思います。

左翼の人たちが国際的に交流したり、連携するのを指して「手法的コミンテルン」と言うのも可能かも知れない。左翼の国際連携が活発化するのを「コミンテルンが息を吹き返しつつある」と例えるのは可能かも知れない。

でも、ある程度の事前説明を加えないと、「アナタはまだコミンテルンがあると思っているんですか?」とバカにされるだけですね。

ただ、今のように国を越えて人の行き来が簡単に出来る時代に、左翼の人が国際的に連携したからと言って、それが「(手法的)コミンテルンだ!」と大騒ぎするのは、時代錯誤な気がします。日本の右翼・保守の多くが、国際的に活動していないので、偏見を伴ってわざわざ時代錯誤の言葉を担ぎだすのではないでしょうか。

産経のコラムの前半部分は、行政の仕事として児童福祉に関わった杉田水脈さんの意見が述べられており、これ自体は、保育園問題に対する有益なオピニオンの1つだったはずです。

そこに、わざわざ木に竹を接ぐようにして、コミンテルンの話で締めくくったため、余計な誤解をされて失笑を招いたように思いました。

陰謀史観 (新潮新書)

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