黒色中国BLOG

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【重要】駐パキスタン中国大使館がテロ襲撃への警戒を発令

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12月8日付けで、パキスタンの中国大使館がテロ襲撃に関する警戒情報を発令しました。

その詳細についてこちらで情報を収集します。

(このブログ記事は随時更新です)

【目次】

大使館の情報

http://pk.chineseembassy.org/chn/lsfw/t1517754.htm

▲パキスタンの中国大使館が発令した「重要安全提醒」はこちらになります。全文を以下に翻訳します。

据悉,恐怖分子策划近期对中国驻巴基斯坦机构和人员发动系列恐袭。

情報によると、近日テロリストがパキスタンに駐在する中国の組織と人員へのテロ攻撃の発動を計画していることがわかった。

中国驻巴使馆提醒在巴中资机构和中国公民切实提高安防意识,加强内部防范,尽量减少外出,避免前往人员密集场所。

パキスタンの中国大使館は、パキスタン・中国資本の機構と中国公民に、安全意識を高め、内部の防備を固め、極力外出を控え、人の多い場所へ行かないように注意する。

如遇巴军警盘查,请予积极配合。如遇紧急情况,请及时报警并联系中国驻巴使领馆寻求帮助。

もし、パキスタンの軍や警察の検問に遭えば、積極的に協力すること。緊急状況に遭遇した場合、警察に通報するか、中国大使館へ救援要請の連絡をしてください。

※新しい情報が入り次第、こちらに追加します。

「東トルキスタン独立運動分子」がパキスタンに侵入?

▲こちらのニュースに色々書いているので抜き出しますと…

  • 駐パ中国大使館のウェブサイトには、2013年8月から今に至るまで数十の領事からのお知らせが掲載されている中で、「在パキスタン中国公民への注意安全のお知らせ」は幾つかあるものの、「重要安全提醒」が発令されるのは今回が始めて。
  • 今年9月30日にも「安全注意」が発令されていた。

    http://pk.chineseembassy.org/chn/lsfw/t1498864.htm

    ▲こちらがその「安全注意」です。
  • 長年パキスタンで生活する環球時報の特約記者によれば、中国大使館が「中国人を狙ったテロ」の警告をしたことはなかった。
  • 現地紙「今日のパキスタン」の今年10月22日の報道によれば、駐パ中国大使館はパキスタン内政部に、中国大使館ならびに中国人に対する警備の増強を要求。
  • 情報によると、既に「東トルキスタン独立運動分子」がパキスタンに進入しており、中国はパキスタン側に「東トルキスタン独立運動分子」の逮捕と引き渡しを要請していた。

つまり、大使館の警告では「テロ」の正体が明らかではなかったのですが、現地紙報道で察するに、これは「東トルキスタン独立運動分子」…つまりウイグル人の過激派がパキスタン内で何らかの行動を計画している可能性がある…と駐パ中国大使館が判断するに至った…ということかと思われます。

そういえば、

▲今年の3月にこういうニュースがありました。

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米国の研究機関SITEの分析では、この動画はイラク西部に拠点を置くイスラム国の一派が発表したものであり、この一派に新疆出身のウイグル人武装分子が属しているものと思われる。

パキスタンに進入しているとされる「東トルキスタン独立運動分子」が、今年3月に「宣戦布告」ビデオを公開したイラク西部のグループなのかは現在のところ不明です。

グワダル港東湾高速道路の起工式が行われたばかり

▲こちらはさっきのニュースと同じですけど、最後の方に、パキスタンの中国企業は既に安全対策を取っている…との説明で「中国交建集団」という企業が出てきます。この会社のウェブサイトを調べてみますと…

▲ニュースリリースにこのような記事があります。

▲こちらは写真付きですけど、11月22日にグワダル港東湾での高速道路の起工式が行われたばかりだったのですね。

グワダル港といえば、一帯一路関連で中国がパキスタンに建設している港。

たまたま時期的に重なっただけかも知れませんが、パキスタンで中国の影響力が強められている状況が背景にあったわけです。

普段からパキスタンではテロがしょっちゅう起きている

▲こちらによれば、パキスタンでは、2016年だけで785件のテロが起きているそうです。

ウイグル武装分子との対話

このブログ記事をアップした後、ツイッターでとあるアカウントの存在を教えてもらいました。

马挞支・哲巴尔(matazhi zhebaer…マタジ・ジェバァー)さんというお兄さん。こちらでは略してマタさんと呼びましょう。ウイグル独立の活動に取り組んでいらっしゃるようです。

 彼が12月8日にツイートした内容を読んでみると、

アムサ先生(ホージャ)、ジェバァー(ツイ主の名前)は中国に占領されている東トルキスタンの全ての土地で、中国人の極端に残酷な迫害を受ける1千万同胞のために正義を広め、全ての白山派勇士と東トルキスタン・イスラム軍が直ちに、アフガンとパキスタンの全ての中国人を滅ぼすことを宣言します。

なかなか、物騒ですね。

「白山派」は「白山党」とも呼ぶようで、

▲こちらでは「白山党」(アク・タグルク)とあります。

▲百度百科によれば、新疆のスーフィズムの宗派らしい。色々書いてあるけど、ここでは細かい翻訳は省きます…でも、ちょっとまて。これって本当に翻訳してていいんだろうか?

ツイートされたのは今(12月9日20時54分)から15時間前だから、12月9日5時~6時ぐらい(日本時間)になります。

マタさんが、今回警戒が発令されたパキスタンでの対中テロに関わりがあるのかは不明ですが、DMで接触を試みたところ、快くインタビューに答えてくれました。

以下にその一部を掲載します。

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:こんにちは。あなたは普通話が話せますか?私は日本の反華闘士「黒色中国」です。あなたにお尋ねしたいことがあるのですが、よろしいでしょうか?私はあなたとの交流を希望します。

マタ:普通話は上手く話せないけど、中文は書けるよ。

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:私は日本人で、以前北京で学んでいました。あなたはなぜ中文が打てるのですか?ツイートの中文もとても上手いですよ。

マタ:ホージャの家の人は幼い頃から多くの言語を勉強する。白山派ではアホン(イスラム教の宗教指導者)が教育を請け負っている。

※訳注:この場合の「ホージャ」はスーフィズムの聖者の称号で、「ホージャの家」とは白山派のコミュニティを意味し、先のツイートの「アムサ」がマタさんの属する白山派コミュニティの聖人であると考えられる。

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:いま、パキスタンの中国大使館ではテロ攻撃を注意しています。これはあなたたちと関係ありますか?

マタ:ウイグル人民と東トルキスタン・イスラム党は中国の侵略に反抗する民族独立戦争を行っています。

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:これは今年3月にYOUTUBEで公開された「宣戦布告」の動画の一部です。私は日本で活動する反華闘士で、あなたたちの活動について研究しています。

マタ:現在、東トルキスタン境内で行われている中国侵略者の暴行に反撃しなければいけません。東トルキスタンの人民に希望を与え、アッラーが苦難の東トルキスタン人民を忘れていないことを知らしめるのです。

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マタ:ウイグル戦士は戦闘の技能と軍事装備に乏しいため、東トルキスタン・イスラム党はシリアのアサド政権以外の各派にて軍事技能の訓練を受け、軍事装備を入手していますが、東トルキスタンイスラム軍の独立性は完全に保持され、いかなる一派の政治主張にも参与しません。私たちの宗旨は、東トルキスタンの独立とイスラム教の信仰を回復することにあります。

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:私はあなたたちが一般の中国庶民を攻撃するのを望みません。私は以前、新疆で多くの漢族と知り合い、上海や香港にも漢族の友人がいます。多くの人々があなたたちの状況を理解しています。彼らも中共の被害者なのです。だから、中国の庶民をやっつける必要はありません。

マタ:私たちは戦わなければいけないのです。君が私の回答を発表し、東トルキスタンで発生している悲惨な状況と我々の真相を日本と外界に広めてくれるのを希望します。

※  ※  ※  ※  ※

以上、ご参考まで。

マタさんがパキスタンのテロと関係があるのか、本当のテロリストなのか、私にはわかりません。

また彼と話す機会があれば、こちらで掲載してみようと思います。

考察:マタさん情報の真偽について

マタさんが実際にどれほどウイグル武装分子とつながっていて、本当にテロ活動を行っているのか?よくわからないのですが、マタさんの情報を幾つかピックアップして、他の情報との整合性を考えてみようと思います。

 ▲こちらはシリアのイドリブで、中国武装警察の特殊部隊「雪豹突撃隊」が操縦する無人機で東トルキスタン・イスラム軍の居住区を爆撃したところ学校に爆弾が落ち、5名のウイグル人児童がなくなり、多数の負傷者が出た…という内容。東トルキスタン・イスラム軍がアサド軍の捕虜を捕まえて雪豹突撃隊が無人機で爆撃を実施したことを自供させた…とあります。

 ▲こちらに同じ写真が見えます。こちらは「EastGhouta」、「Madira」という地名が見えますけど、イドリブとかウイグル人のこと、学校のことは何も書かれていませんし、人数も違うようです。

ただし、もしかしたら、マタさんが言うようなことがあって、でも写真は用意できなかったので、一応「参考写真」として拝借してきたのかも知れない。このあたりは判断つきません。

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