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黒色中国BLOG

中国について学び・考え・行動するのが私のライフワークです

中国行きの国際貨物列車で「熊の手」を密輸=ロシア

ロシア 密輸
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しばらく前、中国人と、今も中国人は熊の手を食べるか…という話をしていたら、「それは昔のことで今は法律で禁じられています」という回答が帰ってきました。

私は中国で熊の手を料理しているところを見たことがあるので、オカシイな…と思っていたのですが、どうやら熊の手は、今も密猟や密輸で調達されているようです。

でもどこからどうやって…と思っていたら次のような記事を見つけました。

▲ロシアから中国に向かう国際貨物列車から連続して熊の手の密輸品が見つかった…という内容。

以下、要約してみます。

【目次】

熊の手1つで1千米ドル

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▲【参考写真】

  • 11月13日、満州里(内モンゴル自治区フルンボイル市)に隣接するザバイカリエ地区の税関とロシア連邦安全局が中国行きの国際貨物列車から22個の熊の手を発見。
  • 11月1日には、同じくロシアから中国行きの国際貨物列車で20数対の熊の手34.3キログラムが発見された。
  • ロシア当局の検査員は、今まで数十回、熊の手を列車から見つけているが、今ままで熊の手を列車に載せた者や、それを受け取る者の手がかりを見つけたことは皆無。
  • ロシアの専門家によれば、「最近連続して中国向けの熊の手密輸が発覚しているが、その数量は非常に多く、これは大小問わず大量の野生熊が虐殺されていることを示しており、野生熊の頭数が急激に減少するのは疑いもない。
  • 報道によれば、中国のブラックマーケットで熊の手は、1つ1千米ドルで取引されている。

中国で熊の手はいつから法律で禁止されたか?

前々から気になっていたので調べてみると、熊の手は中国の法律「野生動物保護法」の第9条で「国家二級保護動物」に指定されています。

▲こちらに「国家二級保護動物」の説明がありますけど、1988年12月10日に中国国務院が批准した「国家重点保護野生動物名録」の中に「」が掲載されており、1989年1月14日から発行されていますから、原則的にはそれ以後、中国で熊の手は一切食べられていないはずのものなのですね。

「国家二級保護動物」が「野生動物保護法」で、どのような扱いになっているのかを要約すると…

  • 9条…野生動物保護法の定義
  • 13条…自然災害で保護対象の動物に脅威があった場合、現地の政府が救援しなくてはいけない。
  • 22条…保護動物とそれらを用いた製品の売買の禁止。
    国家一級保護野生動物の科学研究や繁殖、展覧などの特殊状況で売買や利用が必要な場合は、国務院の野生動物行政主管部門の許可が必要。
    国家二級保護野生動物とそれらを用いた製品の場合は、各省、自治区、直轄市の野生動物行政主管部門、または関連機関の許可が必要。
  • 23条…国家重点保護野生動物とそれらを用いた製品の運輸、携帯には省、自治区、直轄市の野生動物行政主管部門または関連機関の許可が必要。

つまり、売買と運輸・携帯に法的な制限があるわけです。22条の「特殊状況」に「食用」が認められるのなら、政府公認で熊の手を食べることが出来るのでしょうけど…

刑法による罰則規定

先程の百度百科の「国家二級保護動物」の解説に刑法による罰則規定があるので、そちらを要約すると…

  • 「中華人民共和国刑法」第三百四十一条で、「違法捕獲、殺害希少・絶滅危惧野生動物罪」(非法猎捕、杀害珍贵、濒危野生动物罪)というのがあります。
  • 国家重点保護野生動物及びそれらを用いた製品の違法な捕獲、殺害、売買、運輸を禁止。
  • 違反した場合は、5年以下の懲役と罰金
  • 情状が重い場合は、懲役5年~10年と罰金
  • 情状が特に重い場合は、懲役10年以上と罰金または財産没収

ちなみに、パンダは国家一級保護動物になっており、

「情状が特に重い」(情节特别严重)に入っているので、違法に捕まえたり殺したりすると、懲役10年+罰金or財産没収…ということになるようです。

ちなみに、リンク先にある「保護動物」と「情状が重い」、「情状が特に重い」の数字が書いてあるリストですけど、これはたぶん、それらの保護動物を何匹捕まえたり殺したりすれば、「情状が重い」「情状が特に重い」に該当するのかのリストだと思います。

つまり、

  • パンダは1頭でも「情状が特に重い」。
  • 黒熊(ツキノワグマ)は3頭で「情状が重い」5頭で「特別に情状が重い」
  • 虎紋蛙は、100匹で「情状が重い」、200匹で「特別に情状が重い」

…と読むものではないかと思います。

熊の手が中国で流通する理由

法的に厳しく禁じられているのにも関わらず、中国のネットで「熊掌」で検索するとたくさんの情報が出てきます。

▲こちらは中国の裁判所のウェブサイトですが、満州里で摘発された熊の手の密輸で逮捕された被告4名の判決内容を見てみると…中国人2名が懲役6~7年で罰金は30万元(約496万円)ロシア人2名は懲役5年で罰金10万元(約165万円)となっています。

この文末を見ると、ロシアで熊の手は1キログラムを400人民元で売っているけれど、中国に持ち込むと20倍の利潤を得られる…とあります。

熊の手1つの平均的な重さは4~5キロだそうなので、ロシアでの仕入れ価格は1つ1600元~2000元。これを中国で販売すると1つあたり32000~40000元の利益が得られる計算になります。

つまり、懲役はともかくとして、罰金は熊の手10個分ぐらいにしかならない。

しかも、上掲の判決は213個の熊の手を密輸して捕まったというケースなので、最も罪が重いケースでも、それぐらいの罰金にしかならないわけです。

そして、それだけの量を密輸して捕まっても、死刑になることがありません。

たぶん、熊の手を「運ぶだけ」だと、「殺害」はしていないので、たくさん運んでいても、あまり罪が重くならないのではないでしょうか。

たぶん、中国で熊の手の密輸がいまだに横行しているのは、高利潤の割に、刑が軽いのが原因のように思います。

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