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【世界記憶遺産】中国が登録に成功した「南京事件」資料の内訳を考察する

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ネット上では昨日からこの話題で盛り上がっておりますが、これって正確には国際機関が「南京事件」を認めたというよりも、「世界記憶遺産」としてある「物」を認めたというものなのですね。ではそれがどういう「物」なのか…というのが気になりましたので調べてみました。

▲こちらに詳細がありました。短いので全部抜き出してみますと…

(1)住民らの避難地区にいた中国人女性の日記
(2)米国人牧師の16ミリ撮影機とフィルム
(3)日本軍が撮ったとされる写真16枚
(4)当時、中国人から提出された暴行の写真
(5)南京軍事法廷の判決書
(6)南京軍事法廷での米国人の証言記録
(7)生存者の証言記録
(8)当時の調査委員会の調査表
(9)南京軍事法廷での犯罪証拠
(10)市民からの上申書
(11)外国人の日記

…となるそうです。

 《南京大屠杀档案》申遗成功_头版_新京报电子报

▲こちらの中国報道を見ますと、もうちょっと詳しく書いていましたので抜粋してみます。

档案内容分三部分
  2014年,中国正式向联合国教科文组织世界记忆遗产秘书处递交把《南京大屠杀档案》列入世界记忆遗产的申请。经过评审,教科文组织下属世界记忆工程国际咨询委员会本月同意把该项目正式列入《世界记忆名录》。
  这份档案由三部分组成:第一部分关于大屠杀事件(1937年至1938年);第二部分关于中华民国政府军事法庭在战后调查和审判战犯的文件(1945年至1947年);第三部分是中华人民共和国司法机构的文件(1952年至1956年)。

(中略)

【档案内容】
1、1937年至1938年,日本侵略军占领南京期间大肆杀戮中国军民和平民的档案
2、1945年至1947年,对日本战犯调查和审判的档案
3、1952年至1956年,中华人民共和国司法机构提供的文件

「档案」は「文書」ということ。中国が世界記憶遺産登録のためにユネスコに提出した『南京大虐殺档案』は3つのカテゴリーからなります。

「3つの分類」に注目する

  1. 1937~1938年の日本侵略軍が南京を占領していた期間の中国の軍人・民間人の大量虐殺に関するもの
  2. 1945~1947年に中華民国政府が軍事法廷で日本の戦犯に対し調査し裁判を行った際の文献。
  3. 1952~1956年の中華人民共和国司法機関の文献。

この3つのカテゴリーに、時事通信が紹介していた11件を分類してみます。ただし、中国報道でも時事通信の報道でも、11件がどのカテゴリーに入っているのかは明らかではありません。時事通信の11件は、大体時系列に並べられているものとして整理すると下記の通り。

第一分類:1937~1938年の「大虐殺」事件に関する資料

  • 住民らの避難地区にいた中国人女性の日記
  • 米国人牧師の16ミリ撮影機とフィルム
  • 日本軍が撮ったとされる写真16枚(これがどの時点で中国側に渡ったのかは不明。民国時代に証拠物件として押収されたのか、中共が「戦犯」の持ち物から押収したのかは不明。ちなみに今回登録された「遺産」を収蔵している機関として遼寧省の公文書館が出てくる。これは遼寧省にあった戦犯収容所が関連しているものと思われます)
  • 当時、中国人から提出された暴行の写真(こちらの「当時」というのはやはり日本軍による南京占領時のことか…その「当時」にどこに写真を提出したのかは不明)

第二分類:1945~1947年に中華民国政府が軍事法廷で戦後調査し裁判を行った際の資料

  • 南京軍事法廷の判決書
  • 南京軍事法廷での米国人の証言記録
  • 当時の調査委員会の調査表
  • 南京軍事法廷での犯罪証拠

第三分類:1952~1956年の中華人民共和国司法機関の資料

  • 生存者の証言記録(これはもしかしたら民国政府時代に軍事法廷で提出されたものかも)
  • 市民からの上申書(特に時期について触れていないため中共時代になってからのものと判断)
  • 外国人の日記(特に時期について触れていないため中共時代になってからのものと判断)

第一分類に関しては、フィルムや写真、日記の内容にもし間違いや捏造が見られるようであれば、「世界記憶遺産」に「ウソの遺産」が登録されていることになる。ユネスコは立派な国際機関であろうから、この点は間違いなくちゃんと確認した上で「登録」していることでしょう。

第二分類に関しては、南京軍事法廷の書類を改めて引っ張りだしてきたわけですが…。ちなみに南京軍事法廷の判決文はネットで日本語訳が公開されています。

南京軍事法廷判決

▲こちらのページでも指摘されていますが、「中華民国三十六年」(西暦1947年)の時点で既に判決文には「被害者総数は三〇万人以上に達する」と明記されています。こうして考えると、ユネスコが「世界記憶遺産」を通じて中共の「30万説」を認めたという面は薄く、ただ南京軍事法廷の資料を「世界記憶遺産」として認めただけに思えます。そして、今回「登録」された中で、「証拠」と呼べるものがあれば、この第二分類だけではないでしょうか。

第三分類に関しては、中身を見ていないので詳細はよくわかりません。たぶん探せばあるのか、もしくは今後中国からこれらの資料の内容が明らかにされるのか…。南京事件については専門家が多いので、今後それらの内容は厳しく精査されることでしょう。

今回の「世界記憶遺産」登録を如何に見るか?

ユネスコという国際機関がこれらを「世界記憶遺産」として認めたことの意義は小さくありません。中国は今後、これらを外交上の「歴史カード」として利用するのは間違いないでしょう。

ただし、改めて内容を見てみると、これで新たに「30万説」を不動のものとする「金看板」を得た…という印象は私には感じられませんでした。過去の戦争に関する資料に歴史的価値を認めた、というだけではないでしょうか。たとえば、当時使われたとされる古い16ミリ撮影機があるからといって、これが「30万虐殺」の証拠になるわけがないのですから。

今回の「世界記憶遺産」によって、日本が戦後、積み重ねてきた国際的な信用が全て失われることはありません。日本人としては、これで無闇に取り乱して大騒ぎするのではなく、これからも地道に信用を積み増していけば良いのではないでしょうか。それこそが中国の最も嫌がること、世界が日本に望むことではないでしょうか。

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