黒色中国BLOG

中国について学び・考え・行動するのが私のライフワークです

なぜ中国は樺太を「元中国領」と主張するのか

SPONSORED LINK

f:id:blackchinainfo:20141213185913j:plain

私がツイッターやブログのヘッダー画像として使っている古地図は、1939年に中国で発行された『中華疆界変遷図』という中等学校用の地図である。

中国が現在取り組んでいる領土拡張は、日本から見ると対外侵略だが、中国からすれば、「領土完整」と言って、本来中国領であった場所を取り戻そうとしているだけである。では、本来の「中国領」とはどの範囲なのか。この中華疆界変遷図はその範囲を示している…と見ていいだろう。

赤枠内が本来の「中華」であるということなのだが、北側をよく見ると、樺太が入っている。 百度百科(中国のウィキペディアみたいなの…ここで掲載されている情報や見解は、「中共公認」と見て良いと思う)で樺太(中国語名:库页岛)を調べてみると、

库页岛原本是中国领土。(樺太は元々中国領土である)

…と書いてあるから、たぶんこれは中国の公式見解でもあるのだろう。 それにしても、どういう理屈であろうか。

【目次】

樺太に対する中国の見解

百度百科に掲載されている理由を手短にまとめると、次のようになる。

1)西漢時代初年に発行された地理書『山海経』に樺太についての記載がある。中国は歴史上最も早期に樺太を知っていた国家である

2)唐代から樺太は中国の管轄下にあり、当時樺太にあった流鬼国(アイヌ族)は唐朝に朝貢をしていた。流鬼国の使節が長安まで来たこともあったらしい。中国は最も早期に樺太を管轄していた国家である

百度百科を読むと、その後、中国歴代王朝の樺太管轄の経緯の詳細が書かれているが、そちらは割愛する。

ちなみに、樺太のロシア語名である「サハリン」は、満州語による元々の島名、「sahaliyan ula angga hada(黑江嘴頂)」の「sahaliyan」(黒)から来ているらしい。帝政ロシアによって、樺太は奪われたけれど、ロシア人は当時の現地の呼び名…満州語起源…から取った名称を今も使い続けているわけだ。

それならば、中国人が、「あの島は元々中国のものなのですよ」と言い出しても、特に不思議はない。そう遠くない将来に、中国が「領土完整」の名の下で、樺太の回収工作を始めるようになるのかも知れない。

参考:中国の「領土完整」について

▲中国の領土完整領土拡張については、こちらのまとめで詳しく触れておりますので、ご興味ある方はご参照下さい。

関連記事