黒色中国BLOG

中国について学び・考え・行動するのが私のライフワークです

『中国釣魚紀行』始めました(3)環境、文化、格差…そして尖閣問題

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中国で釣りをしながら旅行記を書きます…というと随分お気楽なことだと思われそうだが、その背景には4つの要素が含まれている。

環境問題

中国で釣りをする」というのは、魚を探して水辺に立つ、ということである。どの地域のどの川や池に、どんな魚が生息しているのか、どういう生態系が構築されていて、どんなエサを捕食しているのか、水質汚染状況も理解することになる。

文化の考察

ある地域では魚は神聖視されているので獲られることがない。別の地域には魚を食べる習慣が少ない。中国人は基本的に魚を生で食べないけれど、ある地域では生食もする。ある少数民族が生食で食べる。魚を通じて、土地の文化、民族の文化、食文化を理解することができる。

貧富の格差

中国語で「鱼」(yu2)は「余」(yu2)は同音であり、「年年有余」(毎年お金が余る⇒財産が増える)という言葉にかけて、中国では年の暮れに、魚料理が出される。魚は中国において富の象徴となっている。中国のレストランに行くと、ひな壇状に積み上げた水槽の中に魚が泳いでいて、それを選んで料理する…という形式が多く見られるが、中国では「海鮮」「河鮮」というのは高級食材に分類されるものである。その反面、魚を獲る人々はどうなのか…養殖業で儲ける人もいるけれど、漁民がそれほど儲かる商売とも聞かない。「魚」通じて、生産と消費の両面を知ることが出来るのではないか。そこから、中国社会を広く観察できるのではないだろうか。

尖閣問題

中国語で魚釣りのことを「钓鱼」という。中国語で尖閣の魚釣島のことは「钓鱼岛」と書く。日本人が中国で「钓鱼」をしているからには必ずと言っていいくらい「钓鱼岛」の話題が出てくる。中国で最も反日から遠い分野の「釣り」だが、中国で日本人がやるからには現在、日中関係最大の懸案事項である「钓鱼岛」のことを避けられない。しかし、これを通じて、政治家でも反日活動家でもない、普通の中国人の尖閣問題に対する考えを聞くことができるのではないか…と考えたのである。

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「黒色中国」は、反中保守の立場で、中国を考察するツイーターとして5年間やってきた。これからもその姿勢は変わることがない。しかし、日中関係が緊迫する昨今、中国を観察する者の一人として、報道とは別の観点で、親中とも反中とも最初から結論を決めない立場で、中国を見つめなおしてみたいと思い、以上のような理由から『中国釣魚紀行』なるものを始めることにしたのであった。

零細なる個人が、ヒマを見つけては中国を旅して釣りをする…というものだから、時事性も速報性もなく、世間が驚くスクープもなく、地味で細々としたものになるのは間違いないが、少見多怪の偏向報道が蔓延する中で、日本人が「中国」を見つめなおす、1つの視点として寄与できれば…と考えている。