黒色中国BLOG

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【中国食文化】潮州の「猫丸」の正体とは「猫肉団子」のことなのか?

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先日、ツイッターにて「潮州辺りで見かけた『猫丸』という看板は猫肉団子なのでしょうか?」という質問を受けた。

潮州とは広東省東部沿岸の都市である。広東省において、「なんとか丸」といえば、肉団子のことである。魚丸、牛肉丸などが有名である。素材名+丸であるから、普通に考えれば「猫丸」は猫肉団子である。

中国人は猫を食べる。広東人は特に好むらしい。だから、普段であれば、「それは猫肉団子でしょうね」…の一言で終わる話なのだが、今回はちょっと気になるところがあった。実は、私はそれらの「なんとか丸」の肉団子が大好きで、色々食べてきたし、実家が潮州の友人もいて、実家は魚丸を作っていたりするわけだが、「猫丸」の話は一度も聞いたことがない。

そして、さすがの広東人も、このご時世に店の前で堂々と「猫丸」と書いた看板を掲げないと思う。

だとしたら、「猫丸」の正体とは一体何なのだろうか?

まず、香港の友人に聞いてみた。すると、「これじゃないか?」とURLを送ってくれた。

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http://www.jinchi.com.tw/product.php

▲上から6番目。「進益貓江丸」とある。早速見つかったではないか。

ただ、残念ながらこれは潮州ではなく、台湾の会社が製造しているものだ。

それと、「猫丸」ではなく「猫江丸」だし、その名前の横に、(包肉魚丸)とある。解説には「包餡的魚丸」と書かれているので、「肉を包んだ魚丸」のことである。このタイプの肉団子は香港でも売られているが、「猫江丸」という名前ではなかった。更に解説を読み進むと、 「貓江丸之名是取自父親綽號“貓江”」(猫江丸の名は父のアダ名”猫江”から取った)とある。

つまり、虎屋のようかんに虎肉が入っていたり、ブルドックソースにブルドッグの肉が入っていたりしないのと同じ事で、「猫」はあくまでも名前の上だけでのことらしい。

ただし、広東では猫を食べる習慣があるのだから、その可能性が全くないわけでもない。ところが、潮州は広東省の一部であるものの、その地域の料理は、「潮州料理」と呼ばれる独自の食文化を形成しており、一般的な広東料理とは区別されている。広東で猫を食べるからといって、潮州の食文化で猫を食べるとは限らないのである。

潮州出身の友人に確認してみると、「潮州で猫を食べる話を聞いたことはないし、猫肉の団子もない」とのこと。それと、彼が言うには広東で「猫」と書かれる食用動物は「果子狸」(ハクビシン)の方が有名だけど、こちらはSARSの病原を媒介するという疑いが持たれ、中国では取引が中止されているという。

では、潮州の「猫丸」とは一体何だったのか

香港の友人が言うには、「猫は魚が好きだから、だから猫=魚じゃないのか」とのこと。

つまり、日本の「猫飯」(ねこまんま)に、猫肉が入っているのではなくて、猫の好物であるから、このような名前になっているのと同じことではないか…と想像されるのである。

しかし、これらはあくまでも想像であって、潮州のどこかでは猫の肉で作ったお団子が普通に売られていたりするのかも知れない。以前から潮州に旅行へ行きたいと思っていたので、その際に確認してみようと思う。